スカウト

母一人子ひとり、 苦労して育ててくれた母は、高校卒業後は地元の堅い企業への就職を願っていることを少年は知っていた。信用組合に就職し、軟式野球部で趣味として野球を楽しんだ。2度、国体へも出場した。『プロのスカウトが見に来てくれないかなー』とスタンドを見上げた日もある。野球への思いは絶ち難く、高校時代の監督のツテでカープのテストを受けることが出来た。勤務先には辞表を出した。背水の陣である。

テストは合格だった。スカウト部長は面接した。『肩を壊すことだってある、先のことはわからんぞ』『ええ、それは覚悟しています』『気持ちは変わらんな』『はい、変わりません』
こうして、プロに飛び込んだ若者は、707試合登板 148勝 100敗 138セーブ 192セーブポイント 投球回数2231 1733奪三振の記録を残した。
後の、大野豊である。

よく飲みに連れて行ってくれる先輩
が、超人的な個人練習にも付き合わされた
先輩が打っている時は自分がピッチングマシンの操作を
自分が打っている時は先輩がピッチングマシンの操作を
人のやらない時間の練習はいつしか習性となった
先輩とは高橋慶彦、自分とは長嶋清幸

他にも、衣笠祥雄、達川光男、三村敏之、池谷公二郎、川口和久、正田耕三といった、カープ黄金時代を支えた選手を発掘した木庭スカウトのドラマ。

著者:後藤 正治 講談社 ; ISBN: 4062731460 ; (2001/05) 税込価格770円

例によってフラッと立寄った書店で手にしたら吸い込まれるように…衝動買い
少し古い本ですが

給料遅配は日常茶飯事、いつ潰れるかという状態から強くなっていくカープの様子や、他球団の名スカウトの懐かしい名前も出てくる一冊、ぜひ読んでみて下さい

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甲子園への遺言~伝説の打撃コーチ・高畠導宏の生涯

さっき、時間調整で立ち読みをしていて、思わず買ってしまった本です

甲子園への遺言~伝説の打撃コーチ・高畠導宏の生涯
ISBN4-06-212966-3

高畠コーチって覚えておられますか?
パリーグの長かった方ですが
社会人の4番打者として南海ホークスに入団するも、ケガで現役はわずか6年
しかし、グリップにラバーを巻いて痛む手首への衝撃を和らげたりする工夫を当時の野村監督は見逃さず、28歳でコーチに抜擢

野村さんが解任された際、一緒にオリオンズへ移籍
そこで12年間コーチを務めて、水上・落合・西村・袴田・高沢といった選手を一流にのしあげ(お金かかってないですよねー)たのを皮切りに、小久保など多くのタイトルホルダーを育てる
まったくスライダーの打てなかったアリアスも、高畠コーチの指導で素質開花
タイガースの優勝に大きく貢献したのはご存知の通りです

平成14年のマリーンズを最後にコーチ業を終え、59歳で高校の社会科教師に転向し
甲子園を目指したが、昨年7月、志半ばにしてガンで永眠

古きパリーグの選手がたくさん出てきて、懐かしかったです
そして、何事も工夫と興味と熱意は忘れたらアカンなーと考えさせられます

日本での恩人が亡くなられた事を知らなかったジョージ(アリアス)は、タイガースを退団して日本を離れる際、ユニフォームにサインをし、手紙を添えて奥さんに贈ったそうです
泣かせるやっちゃなー

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